一流のノウハウを持つ 現場代理人
建設会社が工事を受注すると、現場代理人を選任します。現場代理人とはその名の通り、経営者の代理です。発注者からすれば、すべての工事において経営者に責任を持って対応してもらいたいものです。しかし、経営者の体は一つしかなく、すべての工事を担当することは物理的に不可能です。そこで経営者が現場代理人を選任し、工事を経営者の代理として責任を持って完成させるのです。
現場代理人の主な仕事は、施工管理です。多くの協力会社の作業員や職人を統率し、ムダなく作業ができるように指揮・監督します。あたかも、オーケストラを操る指揮者のようなものです。もしくは、プロ野球の監督とも言えます。
プロ野球の監督は、その多くが元名プレーヤーであり、自身のプレーヤー経験を基に選手を指導します。しかし、現場代理人の多くは、型枠を組むことはできませんし、鉄筋も組めません。左官工事も防水工事もすることはできません。にもかかわらず、それらの作業に携わる人たちに指示、命令し、指揮・監督をしなければなりません。
それゆえ、現場代理人として成果を上げるためには、現場代理人に特有の資質や能力が必要です。それがなければ、多くの作業員や職人を指揮・監督することができず、言うことを聞いてもらえないので、結果として良いものができません。
成果を上げる現場代理人にはどんな資質が必要なのかについて考えてみましょう。
成果は「能力×熱意×考え方」に比例
成果は、能力と熱意の積に比例します。つまり、能力が10でも熱意が1であると10の成果しかつくり出せませんが、能力が5でも熱意が5であれば、25の成果をつくり出すことができます。
また、仁(他人への思いやりの心)、義(正しいことを行う心)、信(約束を守る心)に代表される人として正しい考え方を持っていない限り、周りの人たちの応援を得ることはできません。建設業の現場管理において作業員や職人、そして近隣の人たちなど周りの応援を得ることができなければ、仕事をスムーズに遂行することはできません。
能力が10点満点、熱意が10点満点であるとすれば、考え方は+10点から-10点の範囲である。能力や熱意が低くても成果が少ないだけだが、考え方が誤っていると、成果とは反対の損害を発生させてしまことになります。
「雑識」を体系化してまずは「知識」に
(1)技術力
現場代理人には、表1に示すように品質、原価、工程、安全、環境に関する技術力が、成果を上げるために欠かせない資質です。
表1 現場代理人に必要な技術力
| 技術力 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 品質 | 原価 | 工程 | 安全 | 自然環境 | 周辺環境 | 職場環境 |
(2)対応力
工事をスムーズに進めるためには、対応力は欠かせません。対応力には,相手とのコミュニケーションの段階ごとに、親密力、調査力、提案力、表現力、交渉力の5つの能力が必要です(表2)。
表2 対応力に必要な5つの段階
| 段階 | 必要な能力 | 状態 |
|---|---|---|
| 1段階 | 親密力 | 相手との親密性を高める力 |
| 2段階 | 調査力 | 相手の要望(ニーズ)や欲求(ウォンツ)を聞き出す力 |
| 3段階 | 提案力 | 相手の要望(ニーズ)や欲求(ウォンツ)に応じた提案書を作成する力 |
| 4段階 | 表現力 | 相手に対して提案書の内容を表現する力 |
| 5段階 | 交渉力 | 相手の決断を引き出す力 |

(3)管理力
管理とは図1のマネジメントサイクルに示す
P(プラン、計画)
D(ドゥ、実施)
C(チェック、点検)
A(アクション、改善)
を実行する力のことです。

(4)知識、見識、胆識
これらの技術力や対応力、管理力が、薄っぺらなものでは成果を出すことはできません。それぞれに対して深みが必要です。
現場代理人には、技術力や対応力、管理力に対して、雑然とした情報「雑識」を体系化する「知識」、それを実行、行動することで先読みして対策を打つことのできる「見識」、そして変化に対応して決断する「胆識」が必要です。古くから、現場代理人にはKKD(経験と勘と度胸)が必要だと言われていました。経験を積むことで「見識」を、そして勘と度胸を備えることで「胆識」を身につけることができるのです。
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