【がんばれ建設】NO 1330【建設技術】「話し合いで決めると失敗する」

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がんばれ建設
~建設業専門の業績アップの秘策~
作者;ハタ コンサルタント株式会社 降 籏 達 生
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■2019年5月24日

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今日の一言
「意志決定者の資質」
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工事現場では、関係者と話し合って問題解決手法を決めることが
数多くあります
意見が割れてなかなか決まらない、という場面もよく見かけます。

アメリカの社会心理学者アーヴィン・ジャニスは1972年
に「集団浅慮」という概念を提唱します。
「集団が選択肢を現実的に評価するよりも満場一致を優先させ
ようとしたときに生じる、素早くかつ安易な思考」
と定義されています。

例えば、1人で道路を渡る際には左右をしっかりと見渡し、信号
を確認してから渡るにも関わらず、大勢の仲間と一緒に道路を
渡る際には状況を確認せずに先頭の人についていく(集団の
一体感を維持する)ことで、事故のリスクが高まってしまう
ことなどがあげられると思います。

チームの意思決定には3つの方法があります。

1つ目は「独裁」。チームの中の誰か1人が独断で意思決定する
やり方です。
2つ目は「多数決」。いくつかの選択肢を提示した上で、チーム
全員で意思を問い、多数の賛同を得た選択肢に決定するやり方
です。
3つ目は「合議」。チーム全員で話し合って結論を導くやり方
です。

これらの意思決定方法には、どれが必ずしも優れているという
わけではありません。
それぞれメリット、デメリットが存在します。
それぞれの意思決定方法はどれを選ぶかによって、「メンバー
の納得感の得られやすさ」と「意思決定にかかる時間の長さ」
が変わってきます。

「独裁」は唯一、意思決定者以外は誰も意思決定に関与しない
ので、当然、メンバーの納得感が最も得にくい方法です。
逆に1人が独断で決めるため、最も時間がかからない意思決定
方法です。

一方で「合議」はメンバーが意思決定に関与するため、メンバー
の納得感が最も得やすい方法です。
逆にみんなで話し合って決めるため、最も時間がかかる意思
決定方法でもあります。

チームにおける意思決定については、「みんなで話し合って
決めるのが良いことだ」と思っている人が多いです。
世界の歴史において、かつては血統によって決まった王様や
皇帝、将軍によって治められてきた国の統治システムを、
「民主化」によって民衆の手に取り戻してきたからもしれません。

しかし、「みんなで話し合って決める」合議という意思決定
方法の最大のデメリットは時間がかかる、ということです。
逆に、リーダーが最終的な意思決定を下すでも良いですし、
領域によって誰か意思決定する人をあらかじめ決めておくの
でも良いですが、「誰か1人で決める」独裁という意思決定方法
は圧倒的に「速さ」を担保することができます。

昨今は環境変化のスピードが速くなり、意思決定に時間がかかる
ことはビジネスにおける致命傷となってしまう状況になって
きています。

これからはリーダーが1人で決めていくことが求められます。
では、独裁という意思決定手法はどのようにすればうまく
行くのでしょうか?

独裁というのは決して誰からも情報収集をせずに、誰からの
意見も聞かずに決めるということではありません。
意思決定者が必要な情報を十分に集め、さまざまな角度からの
意見を聞いたうえで決めることは、意思決定の精度を高める
ために非常に重要です。

しかし、そのうえで大切なことは、「良い意思決定」
「正しい意思決定」にとらわれすぎずに、「強い意思決定」
「速い意思決定」を意思決定者が心がけることです。

今、2つの選択肢からどちらかを選ぶという意思決定をしなけれ
ばならないとします。
多くの場合、どちらかを選ぶメリットの大きさとデメリットの
大きさは拮抗しています。

「見積りは安いけれど実績が少ないA社と、見積りが高いけれど
実績があるB社のどちらを選定すべきか」という
ようなメリットとデメリットのどちらが大きいのかについて
意見が分かれるようなことに意思決定は必要だからです。

「施工方法は安全第一で決めなければならない」というような
明らかにメリットが大きいようなことは意思決定の対象に
すらなりません。

極論を言うと、どんなに最善の手を選んだとしたとしても、
メリットが51%あり、デメリットが49%あるような意思決定
ばかりだと言っても過言ではありません。

だとすれば、思い悩む時間があるのであれば、迅速に意思決定
して、その手を選んだことが正解にあるように力強く推進した
方が、メリットは増えていくはずです。

では意志決定者が独裁で物事を決めた場合、周囲の人たちが
それに従うのはどのような場合でしょうか。

それは意志決定者が周りから支持されていること、
言い換えるとその人に影響力がある場合です。

影響力のある人の資質には5つあります。

1)高い専門性(すごい)
建設技術・技能等の高い専門性をもっており、周りの人たちから
「すごい」と思われている人

2)返報性(ありがたい)
困っているときに相談に乗ってもらったり、手伝ってもらうなど
「ありがたい」と思われている人

3)魅了性(すてき)
身だしなみが清潔であったり、愚痴や不平不満を言わず、いつも
前向きな行動や言動をしているなど「すてき」と思われている人

4)厳格性(こわい)
ルールを守らなかったり、道理に反する行動や言動をして
いると、きちんと叱ってくれるなど「こわい」を感じる人

5)一貫性(ぶれない)
話す内容に一貫性があり、状況や事情や環境が変わっていても
「ぶれない」人。

意思決定するまでに意思決定者に情報や意見を伝えたり、議論
を尽くしたりすることはもちろん必要ですが、一度意思決定
されたのであれば、その意見について「自分は本当はこう
思っていた」などと考え、話すことは効果的ではありません。

多くの意思決定には51%のメリットと49%のデメリットがある
ことをチームメンバーが理解し、意思決定者の決断を自分たち
が正解にする気概が重要です。

独裁による意思決定を成功させるのは、意思決定者だけでは
なく、その意思決定を実行するチームメンバー全員なのです。

意志決定者は反対や孤立を恐れずに、1人で決めよう。
しかし、メンバーは意思決定者を孤独にしてはいけない。

チームにおける意思決定をするうえでとても大切なことです。

『THE TEAM 5つの法則』(幻冬舎)麻野 耕司著を一部参考に
しました

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【編集後記】
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上記のように、全国9箇所で人材育成研修を開催することに
いたしました。
本メールマガジンの読者は全国にいらっしゃり、なかなか
お目にかかれないので企画しました。
ぜひご参加ください。